月下の漁事 月あかりで網を曳く。磯曳きである。小人数でシタビラメなどを獲る。「鯛、比目魚、鰈、鮫、魴鮄(ホウボウ)、鯒(コチ)などは底の沙に住む。漁夫が海底の魚を漁(と)るには、立網と、流し網を用ゐる、立網といふのは、一号と云ふ一番細い糸でハンモック位の目に藉(し)いた網で中一間長さ五十間ばかりの網を一人で七 八反持って行く、八九乗りの小船で出る。
(中西月華『九十九里其の二』より)
九十九里海岸の黄昏 蓑傘(ものがさ)を着けた釣人。明治39年(1906)頃。釣人の向こうには揚繰網船が見える。(撮影:大西月華氏)
昭和30年代の九十九里(撮影:太田寿一氏)