1 設立の趣旨

九十九里町は、海と起伏の少ない土地に恵まれた豊かな自然環境と、中・近世から継承された優れた歴史的・文化的資産を保有している。反面、近年の人口流出や高齢化の進展などに伴い、令和4年4月には過疎地域(全部過疎)に加えられた。また、数年にわたる新型コロナウイルス感染拡大により観光客を中心としたインバウンド需要も大きく減少しており、とりわけ当町で事業を営む飲食などのサービス店舗の経営も圧迫の度を強めている。

九十九里町の今後の発展のためには、町民が健康で生き生きとした生活を営める環境づくりに加え、当町の様々な環境資源を有効に活用した魅力溢れるまちづくりを推進することが喫緊の課題であり、それに関わる事業の立案・実行を町民目線で遂行していく体制が不可欠と考えられる。

従来から九十九里町には有志のボランティアや任意団体などにより様々な活動が展開されてきたが、それら活動の多くは高齢者が中心となっており、持続的に活動を定着させるには課題が多い。また、町は現在、行政職員の定員の減少などの課題を抱えており、町に内在する様々な課題への対応十分に果たしている言えない状況にある。

以上の理由から、特定非営利活動法人を設立することで、九十九里町における課題解決に向け、町の行政と連携を図りつつ実践的な活動主体として貢献していくこととした。

主要な活動内容は以下のように考えている。

(1) 高齢者等の生活弱者に向けた各種サービスの充実
(2) 町民の健康維持増進のための各種活動
(3) 各種イベント等を通じたインバウンド需要の喚起とリピーター確保
(4) 歴史や文化の継承に向けた学習の場を創設し郷土への愛着を醸成
(5) その他、上記目的を満たす上で必要な関係機関との調整

2 申請に至るまでの経緯

令和2年5月 九十九里町が『町内飲食店応援クーポン』の発行を機に、有志により「九十九里総合案内」サイトを開設 

同年6月 任意団体「ちどりの会」に参加する有志ボランティアによる高齢者・障害者世帯に対する弁当宅配サービス『Gber Eats99』を発足

令和3年3月 九十九里町で「第五次九十九里町総合計画」を策定

 1 活力ある産業振興と賑わいのあるまちづくり
 2 健やかに生き生きと暮らすまちづくり
 3 安全・安心に快適に暮らすまちづくり
 4 生きる力と豊かな心を育むまちづくり
 5 ともに生きるつながりのまちづくり

令和3年3月 九十九里町及び九十九里町社会福祉協議会が進める介護予防手帳を推進することを目的に、任意団体「ちどりの会」の有志メンバーにより『私の健康プラン』の実証事業を実施。活動は地域包括支援センターなどと本年度も継続している

令和3年5月 「ちどりの会」で高齢者向けのスマホ教室を開始。順次参加者が増え、開催拡大に向けた要請が高まる

令和4年4月 九十九里町が県下7市町で指定された全部過疎地域に認定される。65歳以上の高齢化率が県下10位の40.4%(75歳以上は県下19位19.3%)[1]に及んでおり、生活者目線からの地域再生計画の立案及び推進が喫緊の課題であると認識した

令和4年6月 長年死蔵されていた『九十九里町誌』及び『九十九里町誌資料集』を任意団体「九十九里郷土研究会」が整理分類し、本町小関に所在する妙覚寺が新たに設立した「三次郎文庫」(三次郎は本町で出生した伊能忠敬の幼名)に保管し、閲覧が可能な環境を設置した。併せて、「町誌」のデジタル化を実施

令和4年7月 これまで行われていた任意団体を含む有志による活動との連携を図りつつ、町の発展に資する民間活動のコア団体として、特定非営利活動法人の設立に向けた検討を開始

令和4年8月 特定非営利活動法人コネクト99設立総会を実施


[1] ※総務省統計局「令和2年国勢調査結果」(10月1日現在)のデータ